■7月19日(土)午後 横須賀 

 

実際、私は後から知ったのだが、この日横須賀は大変な事になっていた。

 

 

横須賀基地への原子力空母配備に反対する大規模な抗議集会が基地周辺で

開催されていて、そのイベントの流れで市内は反対派の市民デモ隊によって

埋め尽くされていた。全国各地から集まったその人数、、、約1万人!!

 

“い、いちまんにんって。。。。。”

 

当然、厳戒態勢である。当然、機動隊やら警官隊の一斉出働である。

そして当然、デモ隊が通る道は各所で封鎖され、その1万人の人間が、

あの横須賀の街中をぞろぞろと練り歩いていた、、、時刻は午後3時半。

 

――― ちょうどその頃

 

そんな事とは露知らず、私はいつものようにライヴ用の楽器、機材を積み込み、

一路横須賀に向かって快調に車を走らせていた。連休初日の好天、さらに行楽地を

結ぶ幹線のため常時渋滞している保土ケ谷バイパス〜横浜横須賀道路だが、

この日は渋滞一切無しのクルージングスピードで走り抜けられた。

横須賀インターを下りたのは午後3時半過ぎ、、、通常であれば、このまま行けば

午後4時には余裕でお店への機材搬入が完了しているはず、、、だった。

 

ところがそんな状況で、横須賀中心街に近づいたとたん、道路封鎖の影響をモロに

受けて市内に入る道はどこも大渋滞・・・っつーか、止まったままピクリとも動かない。

目の前の信号はずっと青全開なのに、10分待ってもその信号ひとつ越える事ができない。

 

駅前から表通りを通らずに裏へ迂回しようとしたが、肝心のその裏にまわる道路と

タテヨコの筋まで、全てが封鎖されてしまっている。かといって、どうすることもできず、

とにかく、誘導されるままにわずかに通れる道を選びつつ、どうにか店の近くに

たどりついたのは午後4時40分。。。徒歩ならフツーに歩いてわずか3〜4分の

距離を、グルグルと約1時間もかかってしまった。

 

やれやれ、と、店の前の道路へ曲がりこもうとした私は、突然、警官に行く手を

阻まれた。あろうことか、YTYの前の道路自体が完全に封鎖されてしまっている。

これでは機材を搬入するどころではない。いまさら別のルートへは回れないし、

だいいち、私の車の前後は、この渋滞でイラつきの頂点に達している

殺気立った車できっちり詰まってしまっていて、もはやこんなところで

Uターンもバックもできず、ましてや路駐などとんでもない。

 

しかしこちらは機材を運ばねばならない。だが、道を塞いでいる警官に

事情を説明していくら頼んでも、おたくだけ特別扱いはできない、と、にべもない。

こんな近くまで来ているのに。。。車載のデジタル時計が4時52分を表示

しているのを視界の片隅に捉えながら、私はその場で考え込んでしまった。

 

“最悪でも店オープンの6時半までにはリハまで終わらせなければならない・・・。

そのためには、今すぐにでも機材を降ろしてお店に搬入して、さらに一旦車を

どこかの駐車場に停めて、戻ってきたら運び込んだ楽器を組み立てて、

セッティングして、サウンドチェックして、、、、と、逆算でリミットは5時だな”

 

とにかくここは突破するしかない、と、私は意を決して車を強引に歩道に

乗り上げ、停車した。すると最初の警官に加え、周囲を警備していた新手の

警官数人が血相変えて飛んできた。彼等と押し問答すること、さらに15分、、、

とうとう時刻は5時をまわってしまった。

 

一方、デモ隊の方はといえば、駅へ向かっていた一部の団体がなぜか

進軍方向を変え、YTY斜め前の公園に再集結してシュプレヒコールで

気勢を上げている。色とりどりの旗指物やプラカードを持った

襷掛けハチマキ姿の男女闘士達が公園を埋め尽くしており、

地面が見えないほどだ。目算で数百人はいるだろうか。

そしてその数は一向に減る気配は無い。。。状況から判断すれば、

今すぐ道路封鎖が解除される可能性はゼロ、という事だ。

 

“万事休す、か・・・”

 

そう諦めかけた時、私はふとこう思った。。。

“あの公園に集まってる人達のせめて1割か2割の人でいいから、

『いやぁ、ノド乾きましたなぁ、どうです、打ち上げしていきませんか』

なんて、飛び込みでYTYになだれ込んで来てくれれば、今日のライヴ、

きっと満員だろうになぁ。。。。”

この切羽詰った状況下にも関わらず、我ながら何とも無邪気なものである。

そもそもライヴ出演自体、間に合うかどうかわからんというのに。。。

 

その時・・・  

 

 「!」

 

突然あるアイディアが閃いた!

“そうか!まぁ、多少イリーガルではあるがこの際やむを得まい”

 

私は、私と車を遠巻きに取り囲んでいる警官達に、こちらから

ずいっと近づいた。とっさに反応して身構える彼らを、手を頭上に

挙げてなだめながら、私は「ちょっと、、、」と、年配で比較的物分りの

良さそうな警官に目を合わせながら、静かに話し掛けた。

 

そして、彼のごく耳元にだけ聞こえるように、そっと、

ある言葉をささやいた・・・。

 

                                  (つづく)

 

 

 

 

『道路封鎖強行突破!飛込セーフで出演に穴開けなくてよかった〜』 というライヴ

 

演奏曲目

2008年7月19日(土) Live at “Younger Than Yesterday”

1st Stage

2nd Stage

3rd Stage

1.Please Please Me 1.No Reply 1.Girl
2.This Boy 2.And Your Bird Can Sing 2.Yesterday
3.All My Loving 3.Here, There And Everywhere 3.Can't Buy Me Love
4.Till There Was You 4.I Feel Fine 4.Rock And Roll Music
5.All I've Got To Do 5.We Can Work It Out 5.Everybody's Trying To Be My Baby
6.You're Going To Lose That Girl 6.Help! 6.Boys
7.I'm Happy Just To Dance With You 7.P.S. I Love You 7.I Saw Her Standing There
8.Act Naturally 8.Baby It's You 8.Slow Down
9.Michelle 9.Ask Me Why 9.The Night Before
10.She Loves You 10.And I Love Her 10.I Want To Hold Your Hand
  11.Nowhere Man  
  12.Another Girl  
 

Encore

1.Don't Let Me Down
2.Back In The USSR
3.Please Mr. Postman

 

【ライヴPhoto】                    

 

coming soon...